歯周病とは?
歯周病は細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患です。
歯茎のみが腫れている状態を歯肉炎(歯茎の炎症)といい、炎症が歯茎を越えて歯根膜や歯槽骨(歯を支えているの骨)などの歯周組織の破壊をきたしたものを歯周炎(歯周組織の炎症)と言います。
つまり歯周病は歯肉炎と歯周炎のことをいいます。
歯周病が悪化すると
歯を失う原因の37%は歯周病です
歯周病の怖いところは虫歯と異なりなかなか顕著な症状がないまま進行してしまうところです。また、お口の中は上顎と下顎合わせて1つの単位です。そのため歯周病は1本の歯だけが進むのではなく全体的に広がってしまう傾向にあります。また歯周病の原因はプラークや歯石だけではなく噛み合わせや全身疾患など様々なことが考えられるため一概にクリーニングのみで治るとは限りません。
歯周病になるとどの歯が失いやすい?
全体的に奥歯から喪失しやすい傾向にあります。普段の臨床においてよく目にするのが奥歯がなくて前歯だけが残っている状態です。もちろん奥歯の方が磨きにくく虫歯になりやすいなどもありますが、奥歯は咬合力(噛む力)が非常に強いため歯周病の進行を加速させている可能性があります。奥歯1本を失うことは全体的に歯を失うスタートラインになることがあります。
歯周病は若い人でも罹患している
歯周病は20代の方でも80%の方がなっているとよく言われています。これはあくまでも1本でも歯周病になっているということであり、ほとんど健全な方も含まれています。しかし先ほども記述した通り1本でも歯周病の歯があれば全ての歯のリスクが上がります。特に歯肉炎の状態であればまだ歯槽骨は破壊されていないため健全な状態に回復します。早めに定期検査等を受け自分がどこに炎症があるのか知っておくようにしましょう。
歯肉炎
歯肉炎とは
歯垢(プラーク)と言われるものの磨き残しや歯石によって歯茎が腫れている状態を言います。歯周炎とは異なり歯茎のみに限られているため普段のブラッシングで元の健康な状態に治る可能性があります。歯科検診などでどこに磨き残しがあるのか、どういったブラッシングを行えばいいのか理解することが大切です。
歯周炎
歯周炎(軽度~中程度)
歯茎の炎症を越えて歯を支えている骨にまで炎症が進んだ状態です。歯垢はもちろんのこと歯石が歯茎の中にまでできてしまっている可能性があります。その歯石を足がかりとしてさらに細菌が付着し、その細菌が骨を溶かしさらに歯周ポケットを深くしていくなど悪化していく傾向にあります。一度歯周病で溶けた骨は歯肉炎と違い戻ることはありません。また、歯石は硬く普段のブラッシングでは取り除くことができません。歯科医院での専門的な除去が必要となります。
歯周炎(重度)
歯周炎がさらに進み歯を支えている骨をどんどん溶かし歯がグラグラになってくる状態です。歯周炎の軽度~中程度の治療法では治せなくなってくることがあります。場合によっては外科的な治療を行い、歯周補綴と言われるグラグラな歯を数本~全て被せ物などにより固定する必要があります。自然脱落までしそうな場合は治療によっての改善の余地がないためこのままの状態で脱落するまで使い続けるか、抜歯を行う必要があります。
また、重度歯周病の方は複数本保存不可能な場合があります。一度に複数本抜歯するなど術後の喪失感が強く出ることがありますので今後の治療計画をしっかりと考える必要があります。